私たちは「健康食品」と簡単にいいますが、この定義は一体なんでしょうか。

 私たちが日常口にするものは、法律的に(医薬部外品を含む)医薬品でないものはすべて食品とされており、健康食品という定義は法律上存在しません。医薬品とは、薬事法によると以下のように定義されています。(薬事法第1章総則第2条)

  1. 日本薬局方に収められている物

  2. 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であって、器具器械(歯科材料、医療用品及び衛生用品を含む。以下同じ。)でないもの(医薬部外品を除く。)

  3. 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、器具器械でないもの(医薬部外品及び化粧品を除く。)


さらに食品とは、食品衛生法によると次のように定義されています。

 すべての飲食物。但し、薬事法に規定する医薬品及び医薬部外品は除かれる。(食品衛生法(4)規格・基準、検査等の概要1) 対象品目)

 口に入るもののなかで、まず医薬品の定義に含まれるものは医薬品にあり、それ以外のものは食品ということになるわけです。つまり健康食品の種類はいろいろあれど、医薬品でないのならとにかく食品なんだ、ということです。

 そして、もうひとつはっきりしておきたいのは、医薬品と食品というのは、法律上はっきりと区別されているということです。

 健康食品を推進する側だけでなく、「科学的」に否定する側ですら、それが抜け落ちた「批判」が目につくのは困ったことです。

 巷間、健康食品といわれるものはいろいろなものが出ています。形状がカプセルのもの、難しいカタカナの成分が入っているもの、味が薬臭いもの……。たとえ見かけやイメージがどうであろうが、それらが医薬品の定義に含まれない限り、あくまでも食品なのです。そして、それらは医薬品としての目的(診断、治療、予防)をうたうことはできません。

 次の項でご説明するように、食品の中にも抗酸化、抗菌、その他身体の整理調節機能があるものが存在し、そうした効能を緩やかにうたう食品もありますから、医薬品の定義にないものを一律、たんなる食品でくくってしまうことには反対する意見もあります。

 ただし、医薬品であるためには、そうした機能が本当に人に対して有効なのか、成分内容や臨床データを厚生労働省によって承認してもらっています。たんに試験管や動物実験でそうした機能があることがわかっているだけで、医薬品になれるわけではありません。

 いずれにしても、一部の健康食品関連の団体や業者がいまだに、ホームページや広告本などで「ガンに効く」ことをうたっていますが、これ自体、やってはならないこと(薬事法違反)なのです。まず、消費者はこの点についてきちんと認識しておく必要があります。